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ペットの雑学
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Vol.03 ミネラルの要求量
1.
NRCおよびAAFCOが犬や猫について要求量を示している主要元素は、S(イオウ)を除く6種類Ca(カルシウム),P(リン),Mg(マグネシウム),Na(ナトリウム),K(カリウム),Cl(セレン)です。

Ca,P,Mgは骨や歯を構成し、Caは動物体でも最も多いミネラルです。K,Na,Clは細胞内外の浸透圧や酸・塩基平衡、pHの恒常性維持に貢献しています。
Clは胃液中の塩酸の主成分でもあります。植物ではKがミネラルとして最多であるため、植物を主食とする動物は食塩を多く 必要とします。
Sは含硫アミノ酸としてたんぱく質中に含まれ、角・爪・蹄・毛などを構成するたんぱく質(ケラチン)には特に多く含まれるため、たんぱく質摂取量が不足しない限りSの欠乏も生じにくいと思われます。
Caの99%は骨と歯に存在します。その欠乏は骨と正常な発育を阻害し、自然骨折、くる病、骨軟化症、成長低下、食欲不振などを招きますが、Caの少ない精肉を多く与える場合や、Pの過剰によってCaの吸収が阻害される場合などを除き、Ca欠乏は比較的希です。むしろ過剰の方が生じやすくなっています。Ca過剰は1歳までの大型犬の子犬で骨軟化症や四肢の骨格異常の原因となります。また母犬が妊娠中にCaを過剰摂取すると甲状腺上皮小体ホルモンの分泌が休止してしまい、分娩後の旺盛な泌乳で血中Ca濃度が低下しても正常濃度まで回復せず、妊娠子癇と呼ばれる痙攣を生じやすくなります。犬では乾物中2.5%以上のCaは過剰になります。

成長期などにカルシウムを補わないと骨が弱くなるのでは、と思われている方もいるかと思いますが、カルシウムだけのサプリメントを多く摂取させる事は危険です。カルシウムを多く取ると体がバランスを保とうとし、余分なカルシウムを排出します。その排出する時には摂取する量よりもはるかに多いカルシウムを出してしまうのです。「カルシウムのサプリメントを摂っているのに骨粗しょう症が治らない」 という方はいませんか?カルシウムが体内で多くなる事によって、自然と大量のカルシウムが排出されているからです。カルシウムのサプリメントを摂取する場合には、バランスを保つためにマグネシウムのサプリメント、またはマグネシウムと一緒に入っているカルシウムのサプリメントを選んで下さい。現在はカルシウム不足よりもマグネシウム不足の方が多いと言われています。この間はやった、【にがり】はマグネシウムが豊富に含まれています。市販されているにがりを1日何滴か摂取するのは大変いいと思います。


2.
P(リン)の80%は骨と歯に存在し、残りは核酸やATPとして重要な生理機能を担っています。Pの不足は食欲不振、異常嗜好、被毛の荒れ、成長抑制、生殖機能低下などを招き、過剰はCaの利用性を低下させ、食欲不振、骨の損失、尿石、軟組織の石灰化、二次的な上皮小体機能亢進などを生じます。
Ca:Pの比率は、犬では1:1〜2:1の間が理想ですが、猫は1:1〜3:1の間でも耐えられます。Mgの55%は骨と歯、27%は筋肉、残りは赤血球や体液に存在し、神経興奮の抑制や酵素の賦活などの生理作用を持ちます。Mgの不足は筋肉の弱化、刺激に対する過敏症、痙攣、食欲不振、嘔吐、大動脈石灰化などを招き、過剰は尿石や筋弛緩性麻痺を生じさせます。
Kは細胞内、NaとClは細胞外液の主要イオンです。Kの欠乏は食欲不振、成長抑制、無気力、運動性低下、低カリウム血症などです。逆に過剰は不全麻痺や徐脈、下痢などを生じさせますが、過剰は希です。NaとClが不足すると水分調節ができなくなり、成長抑制、食欲不振、被毛の消失などを起こします。過剰はのどの渇き・痒み・便秘などを起こさせますが、過剰は水が自由に飲めない場合のみ発生します。

ミネラルの不足の時によくでてきますね、『食欲不振』。
動物は食べる事、食べたいと思う事が正しい欲求です。普段と違って食欲が無くなるという事は、どこか調子が悪い事を伝えています。だからと言ってすぐに病院へ行かなくてもいいと思います。人間も胸焼けをして食欲が無くなったとしても、1日経てばまた食べれるようになりますね。自然治癒力があり、自分で治す事が出来るからです。犬や猫にも勿論自然治癒力がありますので、少し様子を見てあげて下さい。丸まって寝ている時は無駄なエネルギーを使用せず、体力を回復している時です。1日経っても良くならず、悪化しているようでしたら病院で診てもらって下さいね。

ミネラル不足が心配だな〜という方には「オーシャンケルプ」がお勧めです。バランス良く総合的にミネラルが含まれています。元気な子にも勿論、ペットフードに混ぜてあげると病気の予防になり安心です。


3 .
Feは血色素、Znは皮膚や毛に多く含まれ、いずれも微量元素としては要求量が比較的多いものです。
Cu、Seはいずれも重要な酵素の成分として動物体に1ppm(mg/kg)以上存在しますが、いずれも中毒が出やすいため、それらの補給は注意が必要です。
Iは甲状腺ホルモン(チロキシン)の成分、Mnは糖新生や軟骨形成に関与する酵素の成分として重要です。両者は要求量は著しく少ない超微量ミネラルですが、中毒は比較的生じにくいものです。
Feの欠乏は貧血、被毛の荒れ、無気力、成長不良などを招き、逆に過剰は食欲不振、体重減少、血清アルブミン濃度低下、肝機能不全、ヘモシデリン沈着症などを生じます。
Znの欠乏は、食欲不振、成長抑制、脱毛、角化症、被毛の脱色、繁殖不良、嘔吐、結膜炎の原因となりますが、過剰は希です。
Cuの欠乏は貧血、成長抑制、被毛の脱色、骨障害、神経系の異常、繁殖障害などを生じさせ、過剰は肝炎などを起こさせます。
Seの欠乏は筋ジストロフィー、繁殖障害、採食量減少、皮下浮腫、腎臓の石灰化などを招き、過剰は嘔吐、痙攣、ふらつき、流涎、食欲減退、呼吸困難、爪の欠失などを生じさせ、死亡することもあります。Iの欠乏は甲状腺種、甲状腺肥大、胎子再吸収、被毛の荒れ、脱毛、粘液水腫、無気力などの原因となり、過剰は欠乏症と同様の現象に加えて免疫低下や発熱を招きます。
Mnの欠乏は、繁殖不良、脂肪肝、成長抑制などの原因となりますが、中毒は出にくいものです。


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